A:言わずもがなですが、不動産に限らず金融商品における”利回り”とは、リスクの高低の指標です。ギャンブルでいう”オッズ”と同じなわけです。
その視点からいえば、都心と地方の利回りの差は”リスクの差”ということになります。
利回りの高い地方物件は確かに魅力ですが、そこに潜むリスクも把握しなければなりません。代表的なものを挙げれば、それは”空室リスク”です。
日本全体で人口減少が加速するなか、さらに雇用の問題が絡めば、都心への人口流出は避けられません。
さらに、2014年8月に施行された「改正都市再生特措法」では、行政サービス等の効率化を目的に、整備されるエリアとそうでないエリアとが明確になっていく流れです。
再募集期間が長引く(=空室期間が長引く)ようなエリアでは、当然収益は低下しますので、見込んでいた利回りを大きく下回る可能性もあります。 この点には十分注意なさってください。
また、郊外でよく見られる「賃貸需要がある一ヶ所の施設に依存してしまっている」のも危険です。例えば、大学キャンパスや総合病院、大手企業の工場や研究施設などです。
施設移転に伴って、付近一帯の賃貸需要が沈下を起こし、再募集が厳しくなるという話もよくあります。
当社の姿勢として「絶対に都心でなければならない」と考えているわけではありません。
ただ、管理会社の視点から申し上げますと「利回りだけでは見えないリスク」も多くあるということをご理解いただきたいと思っています。
コンスピリートでは、こうしたエリアの展望も合わせて注意喚起を行わせていだたいております。
A:不動産経営の指標としてなくてはならない利回り。
大きく分けると、『表面利回り』・『ネット利回り』・『実質利回り』の3種類となります。ここでは、使用頻度の高い『表面利回り』と『実質利回り』についてご説明していきます。
1、表面利回り
年間賃料収入 ÷ 不動産の購入金額 × 100
以上の計算で求められるのが『表面利回り』です。売買の販売図面やWebで用いられているのは、ほとんどがこの表面利回りとなります。
不動産経営に係るコストを何も反映していないため、あくまで目安程度にとどめておくとよいでしょう。
2、実質利回り
(年間賃料収入 - 年間必要経費※)÷ 不動産の購入金額 × 100
※年間必要経費=管理費、修繕積立金(一棟の場合はなし)、賃貸管理委託手数料、租税公課(固・都税)など
表面利回りに対して、必要経費を算入した計算方法が『実質利回り』です。
リフォーム費用など突発的に発生する費用は繰り入れられませんが、ある程度は実態のフローを反映した利回りといえます。
情報初見時点ですべてのコストがわかることは少ないため、『表面利回り』でおおよその”当たりを付け”つつ、最終判断は『実質利回り』を指標にするのが好ましい使い分け方かもしれません。
(計算例)
販売価格:1,800万円
現況賃料:85,000円
管理費/月:8,000円 修繕積立金/月:4,000円
賃貸管理委託手数料/月:現況賃料×5%
固・都税/年:50,000円
表面利回り
85,000円 × 12ヶ月 = 1,020,000円 ÷ 1,800万円 × 100 = 5.6%
実質利回り
85,000円-8,000円-4,000円-4,250円)×12ヶ月= 825,000円
825,000円-50,000円= 775,000円 ÷ 1,800万円 × 100 = 4.3%
A:利回りと同じく、不動産経営(投資)を分析する際に用いられる数値または指標のことです。
収益不動産の購入に際しては様々な側面から分析を加える必要性があります。それぞれの数値が「何を含めて、または何を省いて」算出されているかを頭に入れておくとよいでしょう。
以下、よく用いられるものを簡単にご紹介しておきます。
NOI…Net Operating Incomeの略称、『正味稼働利益』と訳されます。
正確にいうとNOI単体では「指標」とはなりませんが、ROI等を算出する際に用いられる数値です。不動産においては、この数値を購入価格で割り返すと『実質利回り』が算出されます。
Net(正味の~)という通り、不動産の運営にかかる各種コスト(管理費、修繕費、税金、管理会社への手数料等)を賃料収入から差し引いた正味の利益がNOIです。NOIはあくまで営業利益であって、経常利益ではないため、ローンの返済や減価償却費、所得税は反映されていません。
ROI…Return On Investment略称、『投資収益率』と訳されます。
簡単にいうと「不動産購入にいくら投下をして、いくら手元に残るか」を表した指標です。一見「実質利回り」と混同されがちですが、決定的に異なるのは毎月のローン返済も差し引いた【キャッシュフロー】を収益とみなす点です。公式は以下の通りです。
『実質利回り』を求める場合はNOIを用いますが、これは「対象不動産」の収益を客観的に見るのに役立ちます。
これに対してROIではローンの返済額を反映した「キャッシュフロー」を収益と考えるため「主観的」な指標となります。
融資条件は個人によって異なるため、当然ローン返済額も人それぞれ異なります。これを『実質利回り』に加味してしまうと、対象不動産の正確な収益性が見えません。
『実質利回り』と『ROI』のちがいを考慮して用いるようにしましょう。
CCR…Cash on Cash Return略称。
ROIに近い考え方ですが、こちらは「実際に現金で投入した金額」に対して、いくら収益があがっているかを見る指標です。
ROIはキャッシュフローを「購入金額」で割るのに対して、CCRは他人資本(銀行融資)を除いた「自己資本のみ」で割って算出します。
例)年間50万円のキャッシュフローがある不動産を、100万円の自己資金で購入したら・・・。
50万円÷100万円×100=50% となります。自己資金を1年間で50%回収できるということを表します。
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