アパート経営は、初期費用を比較的抑えられるために初心者に人気の不動産投資です。
しかし、当初の資金計画が甘かったことで、資金不足に陥ってしまう投資家も少なくありません。
今回はキャッシュフローや税金に重点をおいて、アパート経営のポイントをご紹介します。
アパート経営のキャッシュフローを悪化させるもの
アパート経営をするにあたり、最も重要なことの一つが資金管理です。
当初の予定通りにいけばよいのですが、さまざまな要因が絡んで、計画とのずれが生じてきます。
まずはどのような要因がキャッシュフローを悪化させるのかを探っていきましょう。
空室リスク
空室が埋まらないというリスクはアパート経営において最も注意しなければならないリスクです。
アパート経営における収入は家賃収入しかないわけですから、空室リスクのコントロールがそのまま収入のコントロールにつながります。
空室リスクを軽減するため、設備機器を充実させる、リフォームするなどさまざまな対策が取られますが、最も重要なことは立地や住環境など投資前の調査をしっかり行っておくことです。
管理会社の選択
管理会社はどこでも同じだと思いがちですが、管理会社の選択の失敗はじわりじわりとキャッシュフローを悪化させていきます。
日々の清掃管理や外壁・内装のメンテナンスを怠っていると入居者の不満がつのったり新規入居者募集の妨げになったりします。
また、必要ない設備の更新や立地・顧客ターゲットに合わない過剰な設備のグレードアップも資金管理を悪化させる原因になることもあります。
当初の資金計画とのずれ
初の資金計画と実際の収入・支出に大きなずれが生じているケースも意外によくみられます。
家賃を下げざるを得なくなった、修繕費が増加した、などわかりやすい収入・支出ずれであれば対策も立てやすいのですが、中にはなぜ資金に詰まってしまっているのかわからないというケースも見られます。
このような場合、ローンの元利払いや税金が絡んでキャッシュフローを悪化させていることが多いのです。
アパート経営におけるキャッシュフロー
「キャッシュフロー経営」という言葉がある通り、事業を進めていくときにはキャッシュフローに着目して事業の良し悪しを判断することが大切になってきます。これは、アパート経営においても同じです。
特にアパート経営における支出については、経費として計上できるものとできないものがあることは要注意です。
経費計上できるもの
アパート経営において経費計上できる費用には、直接関係する経費の支出のほか、関連する費用であれば経費計上できる場合があります。
アパート経営に直接関係する費用
・管理会社への業務委託費用
・入居者募集の広告費用
・建物の修繕費・維持管理費
・固定資産税・印紙税・不動産取得税などの租税公課
・火災保険・動産保険などの損害保険料
・ローン借入金の利息
・減価償却費(建物・建物付属設備・その他設備)
上に挙げる費用の中で、実際にその年に支払っていないのに経費計上されるものは「減価償却費」です。
減価償却費は、建物および建物付属設備(配管設備、電気設備など)を耐用年数に応じて費用化していく会計上の制度に基づく費用です。
建物は構造によって法定耐用年数が異なり、RC造は47年、重量鉄骨造は34年、木造は22年となっています。建物付属設備は設備によって異なりますが、おおむね15年前後です。
当初の支出金額を法定耐用年数で按分した額を毎年経費計上します。
アパート経営に関係するその他の費用
・物件検索等で利用したインターネット通信料・PC・タブレット費用
・情報収集のためのセミナー費用・書籍・新聞・雑誌等費用
・物件を見に行くために利用した交通費・車両費
・税理士・弁護士費用
経費計上できないもの
経費計上できないということは、実際に現金が出て行っているにもかかわらず所得税・住民税の計算の際に損金として考慮されないということを意味します。このズレがキャッシュフロー経営を混乱させる理由なのです。
代表的なものは借入金の元金部分です。毎月一定額が余剰資金から支払われますが、会計上の損益の計算には載ってきません。
また、修繕費の中でも増築・改築にあたるような費用については、資本的支出(建物の一部)とみなされて減価償却の対象となります。そのため、将来にわたって一定額を費用計上することになります。
さらに、所得税・住民税についても経費計上できません。所得税・住民税は収入・経費を計算した結果である所得に税率を掛けて算出するものであるため、当然に経費計上の対象にはなりません。
ローンの元利払いと減価償却費の罠
このように、実際の現金の動きと税金計算のための損益が異なるために、キャッシュフロー上の収支と税金計算のための損益を分けて把握しておくことが重要です。
特に、ローンの元利払いと減価償却には注意が必要です。
中古アパートを購入した場合には、減価償却期間が短いために、投資してから数年間は多くの減価償却が計上されます。そのため、所得税・住民税の負担がかなり軽減されます。
しかし、減価償却期間が終了したとたん所得税・住民税の支払額が増加したことに気づいてハッとすることでしょう。一方でローンの支払いや他の経費の支払いはほとんど変わらないので、このタイミングで資金計画が狂ってしまうことが多いのです。
資金計画を考えるときには、実際の現金の出入りに加えて税金の支払額の変化についてもきちんと把握しておく必要があります。
次回は「アパート経営と税金」
についてご紹介します。
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