相続税対策のために投資不動産を購入することがよく行われています。
しかし、最近は資産家に対する税の締め付けが強くなっているようです。
いわゆる「タワマン節税」も今後規制の対象になるかもしれません。

今回は、タワーマンションを活用した相続税対策の今後について解説します。

タワマン購入の際の注意点

昨今の相続税対策に対する締め付けを考えると、相続税対策としてのタワマン購入はしり込みしてしまいそうです。しかし、最高裁判決も自民税調も、通達による相続税評価を否定しているわけではなく、租税の公平性が損なわれることを問題にしているのです。

現在すでに相続税対策としてタワマンを購入してしまった人、またこれから購入を考えている人は、特に次の点について注意して検討すべきでしょう。

相続税対策のみが目的とみられないようにする

最高裁判決は、裁判資料として融資した銀行の稟議書や議事録までが提出され、その中で相続税対策であることが赤裸々に記録されていました。これは、国税庁が税金逃れを主張する強い証拠となり、裁判に不利に働いたのです。

不動産投資を行うこと自体は何も悪いことではありませんが、相続税を逃れる目的が問題視されています。

このことから、あくまで自宅としての利用や事業目的でのマンション購入で副次的に相続税の軽減効果が生じる場合は、問題は少ないのではないかと考えられます。

合理性のある投資を行う

不動産事業、投資が主たる目的であると認められるためには、投資に経済的合理性が必要です。
タワマンの上層階は自宅として利用するならば素晴らしい不動産といえるでしょう。

しかし、事業・投資目的として考えると疑問です。家賃をかなり高めに設定しないと利回りが割に合わないですし、空室リスクが高くなります。

売却するにしても流動性がそれほど高くないため、すぐに換金できるわけではありません。総合的に見て、合理性のある投資とは言えないと認定されても文句はいえないでしょう。

過大な借入れをしない

最高裁判決の事例では、借入金額がマンションの相続税評価額を大きく上回ったことで、ほかの現金や金融資産などのプラスの財産が相殺され、相続税がゼロになってしまいました。この点についても、「相続税を逃れる目的」と判断される材料になったと考えられます。

相続税評価額は、現金・不動産等のプラスの相続財産から、借入金、税金等の未払い金などマイナスの相続財産を控除して計算されます。そのため、物件価格に対する借入れの割合が大きければ大きいほど相続税の節税になるのです。

しかし、借入れの割合が大きいと元利払いが賃貸収入で賄えなくなったり、物件を売却しても借入が残ってしまう事態が生じたりと投資の合理性という点では疑問が残ります。結果、国税庁の目が厳しくなるということもあるでしょう。

現在投資しているマンションの借入比率が高い場合には、繰上げ返済等で借入れを減らしておいたほうが無難です。

相続税対策に対するメスは今後も続く傾向

相続税・資産課税については、税制改正大綱が発表されるごとに新たな規制が生まれており、一昔前よりは、対策の幅が狭まっていることは否めません。

しかし一方で、相続時精算課税等の改正により、次世代に資産を移転しやすくする制度は良い方向に改正されていますので、相続税対策が全く封じられているわけではありません。

マンション・投資不動産を相続対策として購入する際には、単に相続税負担を軽減する目的のみならず資産の承継という視点から全体的な対策を検討する必要があります。ぜひ相続・不動産の専門家に相談しながら対策を練ったほうがよいでしょう。


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