相続税対策のために投資不動産を購入することがよく行われています。
しかし、最近は資産家に対する税の締め付けが強くなっているようです。
いわゆる「タワマン節税」も今後規制の対象になるかもしれません。

今回は、タワーマンションを活用した相続税対策の今後について解説します。

業界に衝撃!令和4年マンション節税判決

相続税対策をめぐる2022年4月の最高裁の判決は、業界を震撼させました。
相続税評価に関する通達に従って投資用マンションを評価した相続事例について、国税が通達評価を否定し、相続財産を独自に評価して相続税を算出することが認められる判決が下されたのです。

通達による相続財産の評価基準に基づいて相続財産を評価すると、投資用マンションは市場価格に対して相続税評価額が低くなりがちです。今回の判決は、通達に基づく評価が著しい租税負担の不公平を招く場合には、例外として通達評価を否定することもあるとしたものです。
これから相続税対策に投資用不動産を購入しようとしている人にとっては、寝耳に水の判決だったでしょう。

タワマン節税の仕組み

ここで、タワマンを購入することがなぜ相続税の節税になるのかについて確認してみましょう。

マンションの相続税評価

相続税は、相続財産の評価額に一定の相続税率をかけて算出されます。

マンション購入が相続税節税となるポイントは、相続税評価額イコール購入額ではなく、通達に定める方法によって算出された評価額によるとされている点です。
土地は相続税路線価等、建物は固定資産税評価額をもとに相続税評価額が算出されますが、この評価方法によるとおおむね市場価格の70%から80%程度になります。

タワマンが相続税評価に有利である理由

さらにタワマンの場合、一般の戸建て・マンションよりも市場価格と相続税評価額の開きが大きくなります。
マンション一戸の相続税評価額は、一戸分の土地・建物の評価額の合計となります。

土地の評価額は、一棟のマンションの土地の評価額を床面積で按分した価額です。
一棟当たりのマンション戸数が多いタワーマンションは一戸当たりの土地評価額はかなり低い評価額になります。
一方、建物評価額は固定資産税評価額に基づいて算出されますが、階数を考慮せず、単に床面積に基づいて決定されるという特徴があります。

その反面市場価格は、同じ床面積でも上層階のほうが高値となるため、上層階にいけばいくほど購入額と相続税評価額との乖離が大きくなります。すなわち、相続税の節税になるのです。

投資用マンションはさらなる評価の特例も

さらに購入したタワーマンションを賃貸に出した場合、貸家の評価減、貸家建付地の評価減、事業用小規模宅地の評価減といったさまざまな評価減の特例が適用されます。一般の不動産より、利用価値が制限されているというのが軽減特例の理由です。

その結果、相続税評価額は購入額の20%程度になってしまうこともあります。

タワマン節税に関する自民税調の動向

タワマン節税が租税の公平性を阻害するという議論は前からありましたが、平成4年最高裁判決が与党税制調査会の審議にも影響を与えたことは想像に難くありません。

2022年11月30日の自民税調において、タワマンの評価について今後有識者会議等で検討すべきとの方向性が示されるとともに、年末の自民党・公明党令和5年度税制改正大綱の中に「マンションの相続税の評価について」という項目が盛り込まれました。

ここでは、マンションの評価方法については市場価格との乖離の実態を踏まえ適正化を検討するとされています。過度な節税に対しては、今後厳しい目が向けられるというサインにほかなりません。

 

次回は「タワマン購入の際の注意点」
についてご紹介します。

 


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