タワーマンション投資は、資産価値の高さ・社会的ステータスという面が注目されて人気の不動産投資です。
もっとも、節税を狙った投資が数多く行われたために税制改正が行われたり、判決によって財産評価通達に今までと異なる解釈が加わったりするなど、投資のプロの間でも今後の動向が注目されています。
今回は、タワマン投資のメリット・デメリット、投資を検討するときの注意点をご紹介します。
タワーマンション投資(タワマン投資)の特徴
「タワーマンション」についての法的な定義はありません。
もっとも、固定資産税に関する税制では「居住用超高層建築物」という区分があり、60mを超える建築物が対象となっています。おおむね20階を超える階数の超高層マンションをタワーマンションと呼ぶのが一般的です。
タワマン投資は、ワンルームマンション等と同様、1戸のマンションを区分所有しますが、価格、立地、入居者のターゲット層に大きな違いがあります。
タワマンの価格は同じ床面積の周辺物件に比べて高めです。また同じマンション・同じ床面積でも高層階のほうが高く、低層階と高層階では1.5倍以上の価格の開きがあるところもあります。
また、タワマンは駅前の再開発に合わせて建築が計画されることが多いために、駅近の繁華街の中心という一等地に立地している物件がほとんどです。
最近では郊外のターミナル駅にも建設されることも増えましたが、投資用として考えるならば、都心若しくは地方中核都市の一等地の物件を考えることになるでしょう。
このため、入居者は富裕層が中心となり、家賃が数十万円という物件もザラにあります。
このようなタワマン投資の特徴を踏まえて物件を選択しないと、思わぬ投資リスクを抱え込むことになります。
タワマン投資のメリット
タワマンの建築計画は年々増加傾向にありますが、マンション全体でみると数はそれほど多くはありません。
特に賃貸で運用している物件は希少性が高いといえます。
ほかの不動産投資にはないタワマン固有の価値に着目して投資する人も多いようです。
タワマンにしか得られない価値を提供できる
入居者にどのような価値を提供するのかを考えることが不動産投資の醍醐味です。
この点、タワマンは一等地という立地、利便性、眺望、日当たり。充実した共用施設という物件自体の価値に加えて、華やかさや社会的ステータスなどの独自の価値を提供することができます。
このような価値があるからこそ、周辺物件より強気の賃料を設定することができます。
資産価値が落ちにくい
タワマンは都市計画における高さ制限や容積率の制限によって、建築できる場所が限られます。希少性の高い建物であるといえるでしょう。
また、躯体や建材・付属設備の質も高いのに加えて、周辺の建築計画と調和した建物が建築されるために外観のデザインという点でも超一流であるため、資産価値としても下落しにくいといえるでしょう。人気のあるタワーマンションは築年数が経過しても価値が落ちず、逆に市場価格が上がっているものまであります。そのため、キャピタルゲインを狙ってタワマンに投資するケースも少なくありません。
タワマン投資のデメリット
タワマンは資産価値が高い反面、初期費用に加えて維持費も相当の費用が掛かります。
また、入居者のターゲットがある程度絞り込まれるために、空室リスクには十分注意する必要があるでしょう。
管理費・修繕費が高い
タワマンには各階のごみ捨て施設や高層エレベーター、ミーティングスペースやフィットネス施設などさまざま共用施設があります。
清掃はゴンドラを吊るして行いますし設備更新についてもタワマン固有の設備がたくさんあります。この維持費のために、管理費・修繕費や修繕積立金は一般のマンションより高めです。
すべてを入居者負担にできればよいのですが、周辺のマンションとの競争力という点を考えると、難しいところです。
空室リスクが比較的高い
タワマンは周辺のマンションよりも取得価格が高いので、賃料も高めに設定する必要があります。
そのため、比較的床面積が広いタワマンだと、いったん空室が発生するとなかなか次の入居者が決まらないということもあります。
その間は収入がないままにローンの元利払いや入居者募集の広告費、管理費・修繕費を負担することになるために、キャッシュフローに余裕を持った計画が必要になってきます。
タワマン投資物件を選ぶ時のコツ・注意点
タワマン投資は1戸当たりの投資金額が高額になりやすく、数戸保有して分散投資をするためにはかなりの資金力が必要になります。
また、投資を考える時にはタワマン特有の投資リスクを考慮する必要があるために、やや上級者向けの投資といえます。
物件の選択は慎重におこない、資金的に余裕のある事業計画を立てるように心がけましょう。
分譲時の人気や価格を調査してみる
タワマンを検討するときには、この先も資産価値が維持されるかという視点が重要になってきます。
分譲時にどれぐらいの人気だったか、分譲時の価格と現在の価格はどれぐらいの差があるのかを調査してみると、将来的に資産価値が下落しにくいかどうかを予測する材料になるでしょう。
価格が下落しているようであれば、その理由を探ってみます。エリアとしての人気が落ちている、水害などの被害があって修繕費が上がった、近くにタワマンが林立しているなど様々な理由が考えられますが、このような兆候が見られるようであれば投資は控えたほうが無難です。
事業計画は慎重に
タワマンは投資金額が高く賃料が高い反面、空室時のキャッシュアウトも大きくなります。そのため、事業計画を立てる際の空室率や余裕資金はかなりシビアに見ておく必要があります。
1億円のタワマン1戸とアパート1棟を比べると、アパートは空室リスクが分散しているのに対して、タワマンは空室が生じれば次の入居まで家賃収入がゼロになってしまいます。
手元資金に余裕があればよいですが、数戸のワンルームマンションやアパート投資と比較してみてもなお投資対象のタワマンに優位性があるかを慎重に検討する必要があるでしょう。
節税対策を狙ったタワマン投資は注意
相続税の節税のためにタワマン投資を考える富裕層は多いようです。
確かに、タワマン投資は土地・建物の相続税評価額が投資金額よりも低く、さまざまな評価減の特例も利用できるために相続税対策に活用できる側面があります。
しかし、固定資産税評価額(建物の相続税評価額)の算定方法を変更する税制改正がなされたり、財産評価の通達に関する最高裁判決によって過度に行き過ぎた相続税節税が否定されたりするなど、節税に対する目は厳しくなっています。
あくまでインカムゲインとキャピタルゲインで十分な投資効果が期待できるかという面から物件を検討することが大切です。
タワマン投資は慎重に検討したうえで行う
タワマン投資にはほかの不動産投資では見られない魅力があり、キャピタルゲインも期待できるなど投資効果も高い反面、投資リスクも比較的高いという特徴があります。
事業計画を立てる際には空室リスクや突発的な支出のリスクを織り込んで余裕を持った事業計画を立てる必要があるでしょう。
よいと思った物件があってもすぐに飛びつかずに、アパートや一般のマンションなどほかの不動産投資と比較検討したうえで慎重に判断することが大切です。
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