ビッグモーターの保険金不正請求事件が世間を騒がせていますが、似たような問題が不動産業界でも起こっています。
主に高齢者が狙われており、消費者庁や自治体の相談窓口にたくさんの事例が報告されているようです。
今回は、火災保険を使った修繕を勧める詐欺トラブルについて、具体的な事例と対策をご紹介します。

ビッグモーターの保険金不正請求事件

連日報道で取り上げられているビッグモーターの保険金不正請求事件。
顧客の車に業者自らキズをつけたり、タイヤをパンクさせたりして、その修理代金について保険金を不正に請求していたというものです
。ほかにも、正規の修理代金を水増しして、不当に高額な修理代金分の保険金請求をしていた事例も発見されています。

問題が発生した原因の一つに、保険契約者である顧客が直接保険会社とやり取りすることなく、修理業者にすべて任せきりであることが指摘されています。
顧客は、保険金が支払われることから修理代金には無関心で、また面倒な手続きについては業者に任せてしまうために不正の横行にブレーキがかからなかったのです。

急増する火災保険を使った建物修繕の営業

似たような事件が不動産業界でも起きています。
火災保険を使って無料で建物の修繕ができるとの営業を信用して修繕を依頼し、のちにトラブルに発展しているケースが後を絶たないのです。
最近では風水害による建物修繕が増えており、これに便乗した商法です。中には知らず知らずのうちに詐欺の片棒をかついでしまうケースもあるためかなり注意が必要です。
具体的なトラブル事例をみていきましょう。

保険金の架空請求・水増し請求トラブル

屋根や雨どいの修繕を持ち掛け、必要のない修繕を行って保険金を架空請求・水増し請求する悪質な事例があります。
この事例では、最初は台風後の無料建物チェックを行うという営業から入り、具体的な修繕個所が見つかると、火災保険金でまかなうことを勧められます。
無料だからと業者に任せていると本来必要のない修繕工事が含まれていたり、工事代金が水増しされて請求されていたりしたというものです。
この場合、保険会社に虚偽の報告をして保険金を請求していることになります。
業者だけでなく保険契約者(保険金受取人)である建物所有者も詐欺に加担しているとみられる可能性も否定できませんので、絶対に避けなければならない事例です。

クーリングオフ・違約金に関するトラブル

怪しい営業を不審に思い、契約のクーリングオフを申し出ると、クーリングオフできない、もしくは高額の違約金を請求されるというケースも報告されています。
消費者契約法により、訪問販売による契約については契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリングオフができます。
しかし、業者とトラブルになりたくないという心理から、そのまま業者になりゆきを任せてしまうこともあるかもしれません。
しかし、任せれば保険金の架空請求・水増し請求トラブルに発展する可能性もあるため、強い気持ちをもってクーリングオフの交渉をしなければなりません。

保険金請求のサポート手数料トラブル

保険金請求の請求サポート手数料やコンサルティング手数料と称して、修繕工事代金の30~40%、あるいは数十万円という高額な手数料を請求されたという事例もありました。
修繕工事費以上の保険金が下りるので、手数料も保険金で支弁できると営業されたそうです。
悪質なものでは、保険金の請求のみを行い、「保険金の使い道は自由です」などとうその営業を堂々と行っている悪質な業者もいるようです。
火災保険金の請求は保険契約者が保険会社に対して行うもので、本来は手数料がかかるものではありません。また、保険金の請求時には修繕工事の見積書が必要で、見積り以上に保険金が下りることはありません。

トラブルに巻き込まれないための対策ポイント

高齢者や障がい者を狙った悪質な営業には、毅然とした態度で臨まなければなりません。
ひとりで悩むのではなく、家族や公的機関の相談窓口に相談することが大切です。
営業をうのみにせずに、ひとまず立ち止まって冷静に考えて対処しましょう。

業者任せにせず修繕個所を確認する

建物修繕を依頼するときには、修繕個所について業者と一緒に確認し、修繕の必要が本当にあるのかを見極めることが重要です。
目視で確認できないような場所の場合には、その場で写真を撮影してもらって確認するという手段もあります。

修繕の必要があるのかよくわからないときには、ほかの業者にも見てもらって相見積もりをもらうことも検討しましょう。
複数の業者にチェックをしてもらった結果、修繕の必要がないことが判明してクーリングオフしたという例もあります。

無料修繕という営業をうかつに信じない

保険金が本当に下りるかどうかは、さまざまな資料に基づいて判断されるため、修繕業者のいう通りの金額が請求できるとは限りません。
全額下りる場合もありますが、修繕費の6割、7割しか下りないというケースも珍しくありません。
修繕費の見積もりがでたら、どの程度保険金が下りるのか、一度保険会社にも相談してみることをおすすめします。

契約書・約款をきちんと確認する

工事を依頼するときには、契約書や約款をきちんと確認し、営業担当者に代金の内訳、支払時期、工事期間、また万が一のためのクーリングオフについて説明を受けましょう。
中には見積書を渡すのみで書面を交わさない業者もいるようですが、そのような業者に依頼するのは論外です。

契約書に法外な違約金が定められていたり、クーリングオフができない旨が定められていたりしても、違約金なしで解約できる場合があります。
不安なときには、弁護士などの専門家や公的機関の窓口に相談しましょう。

怪しい営業があったらすぐに相談

工事契約をするときにはひとりで考えずに、必ず周りの家族や知り合いに相談してみることが大切です。
いったん落ち着いて考えてみれば、営業の言っていることがおかしいことに気づくかもしれません。

悪徳業者はさまざまな手口で不当な利益を得ようと忍び寄ってきます。
これからもなくなることはないでしょう。詐欺にあったりトラブルに巻き込まれたりしないよう、事前に相談窓口を調べておくのがよいでしょう。

このような怪しい営業があった時には、国の国民生活センターや自治体の消費者相談窓口が相談を受け付けています。
相談窓口がわからない場合には、「消費者ホットライン188(いやや!)」に電話をすれば、適切な相談窓口を教えてもらえるでしょう。

前もって対策を練っておけば、悪質な営業もこわくはありません。

このブログを書いた人

コンスピリート・ブログライター
コンスピリートの公式ブログライターが 不動産に関するお役立ち情報をお届けします。